歴史
落語は「庶民の笑い」と「話芸の完成度」が何百年も磨かれてきた、日本でもかなり息の長い芸能です。
どういう経緯を経てきたのか、その流れが見渡せるように、時代ごとに整理してみます。
落語の歴史【ざっくり全体像】
説法・講談 → 落語の原型 → 江戸で大衆芸能として完成 → 明治以降に近代化 → 現代まで継承
起源:説教と笑い(室町〜安土桃山時代)
落語のルーツ
- 仏教の説法 - 難しい教えを分かりやすく、時に笑いを交えて話す
- 御伽衆(おとぎしゅう) - 大名や将軍の話し相手
知識・機知・ユーモアが重視されます。とっつきにくい話は避けられちゃいますからね。
重要人物
安楽庵策伝(あんらくあん さくでん)
笑い話を集めた『醒睡笑(せいすいしょう)』を編纂した人で、落語の「ネタ帳」作りの祖先的存在です。この時代はまだ「落語家」ではなく「面白い話をする人」という認識のされ方でした。
江戸時代:落語の誕生と大衆化
江戸で花開いた理由
平和な時代で娯楽需要が増加しました。やはり、戦地では楽しいことに割ける体力も知力もないのです。
町人文化の発展
寄席(よせ)が登場します。演芸全般に言えますが人が集えるハコが必要で、そこを拠点に文化が根を張るのでしょうね。
初期の落語家
鹿野武左衛門(しかの ぶざえもん)
「落とし噺(オチのある噺)」を演じた最初期の人物とされています。
寄席文化
木戸銭を払って入るようになります。経済が絡んでくるわけですね。
落語だけでなく:
- 講談
- 奇術
- 太神楽
などの総合演芸場として機能します。
この時代に
- オチ(サゲ)
- 登場人物の演じ分け
- 座って一人で演じる形式
が固まります。
上方落語と江戸落語の分化
上方と江戸で特徴が出てきます。いつの時代も距離が差を作りますね。
江戸落語
- 粋・軽妙・テンポ重視
- 日常の町人生活が中心
- サゲは「ストン」と落とす
上方落語(大阪・京都)
- 人情味が濃い
- 擬音・効果音が多い
- 見台・膝隠しを使う
同じ噺でもオチ・人物像・雰囲気が違うのが面白いところです。
明治時代:近代落語の確立
大きな転換期
明治維新とともに生活がドラスティックに変化しました。
- 武家社会の終焉
- 言文一致運動の影響
- 新聞・速記の普及
速記本の登場
速記ができると、口伝だった噺が「文字」で残るようになります。複製しやすい情報となることで、広く、特に地方にも広がるようになります。興行としては間口が広がったでしょうね。ただし、落語家さんは子弟で稽古するときメモも許されないことも多いんじゃないでしょうか?文字で全てが伝わるわけではないってことですね。
名人たち
三遊亭圓朝
怪談噺・人情噺を完成形にもっていきました。『牡丹灯籠』『真景累ヶ淵』などが有名です。
「芸術としての落語」が確立した時代です。
昭和:黄金期とメディア進出
戦前〜戦後
落語はラジオ・映画・テレビへと進出し、国民的娯楽に発展します。
昭和の名人
- 八代目 桂文楽
- 五代目 古今亭志ん生
- 十代目 金原亭馬生
- 六代目 三遊亭圓生
技術の完成度が高まり、個性の爆発した時代です。腕が立たなきゃ個性なんて認められないでしょうね。古典を正確に伝えることと、自分の味を出すことと相反するようなことが同時に存在した奇跡のような頃です。
現代:伝統と革新の共存
現在の特徴
- 古典落語の継承
- 新作落語の増加
- 若手の台頭
- 女性落語家の活躍
現代の動き
落語は殻を破るように新しい形も模索します。もちろん反対意見もあるはずです。他の分野とのコラボレーションも多くされるようになりました。
- 落語×演劇
- 落語×アニメ・漫画
- 海外公演・英語落語
「伝統芸能」ではありますが、ちゃんと今の言葉と感覚で進化もしています。
落語の本質って何?と聞かれたら、
- たった一人
- 道具はほぼ扇子と手拭いだけ
- 想像力で世界を作る
- 笑いの中に人生の真理がある
ここに何百年も飽きられない理由があるのでしょうね。