座布団げーし!

演目/あくび指南

古典落語の滑稽噺で、「芸の指南もの」(何かの芸を習いに行くが、しょうもない方向に転がる噺)の代表作です。
江戸・上方どちらでも演じられますが、もともとは上方系の噺とされています。

あらすじ(基本形)

  1. 退屈しやすい男が「粋な芸を身につけたい」と思い、“あくびの上手なやり方”を教える師匠のところへ習いに行く。
  2. 師匠は、あくびにも作法があると説く。
    • 顔の作り方
    • 口の開け方
    • 手の添え方
    • 間合い
    • 周囲に「眠気が伝染する」演出
    • ...などをやたらと大げさに解説する。
  3. 弟子は一生懸命まねするが、なかなかうまくいかない。
  4. そのうち師匠が見本を見せようとして……師匠自身が本当に眠くなってしまう。
  5. 最後に弟子が一言。

代表的なサゲ

弟子「先生、今のがあくびですか?」
師匠「いや……今のは本物や」

「芸としてのあくび」と「本当に眠いあくび」が逆転するサゲ。

得意とした噺家

上方

桂枝雀

→ 表情とテンポで爆笑を作る名演。

桂米朝

→ 古典の型を整えた。

江戸

古今亭志ん朝

→ 軽妙な会話劇として演じる。

柳家小三治

→ 脱力系の味が合う。

噺の特徴

1.「芸事指南噺」の典型

同系統の噺:

  • 寝床
  • うなぎ屋
  • 茶の湯
  • かつぎ屋

“くだらない芸を真面目に教える”構造。

2.会話だけで成立する

登場人物は基本 二人

  • 師匠
  • 習いに来た男

そのため、間(ま)と演技がすべての噺です。

3.前座・二ツ目向き

理由:

  • 短い
  • 登場人物が少ない
  • サゲが分かりやすい

なので寄席では比較的よく出る演目です。

噺のテーマ

表面的にはただのナンセンスですが、どうでもいい芸を大真面目に教える滑稽さが“形式化された芸事”の風刺になっています。

師匠と弟子の関係のパロディという要素もあります。

類似構造の落語

「あくび指南」と構造が似ている噺:

  • 転失気
  • やかん
  • つる

“知らないのに知ったかぶりする人”を笑う系統です。