座布団げーし!

演目/愛宕山

上方落語の大ネタのひとつで、のちに江戸にも移入された滑稽噺です。
舞台は京都の愛宕山(京都市右京区)。山上の 愛宕神社 参詣が背景にあります。

あらすじ(基本形)

  1. 大店の旦那が、幇間(たいこもち)や芸者を連れて愛宕山へ参詣に出かける。
  2. 山上で酒宴となり、旦那が「崖下に小判をばらまく」と言い出す。
  3. 取りに行った幇間が、欲に目がくらみ足を滑らせて谷底へ転落。
  4. 一同大騒ぎになるが、幇間は奇跡的に助かる(木に引っかかる等)。
  5. 旦那が「どうやった?」と聞くと、幇間が機転の利いた一言でサゲ。

サゲの代表パターン

演者や系統でいくつか型があります。

とぼけ型(上方式)

旦那「どうやって助かった?」
幇間「へえ、落ちる時に“もう一遍お願いします”とお願いしました」

無茶振りを逆手に取る“幇間の芸”で締める。

逆転皮肉型

旦那「怖かったろう」
幇間「いえ、旦那の方が怖うございました」

金持ちの道楽の方が恐ろしい、という社会風刺。

誇張滑稽型

落ちる最中の描写を長く誇張し、
最後に「途中で景色を楽しんでおりました」などで落とす。

得意とした噺家

上方系

桂米朝

→ 上方古典として完成度の高い型を確立。
→ 山道描写と幇間の心理描写が丁寧。

桂枝雀

→ 転落シーンを爆発的テンションで演じる。
→ 物理的な落下の演技が見どころ。

桂ざこば

→ 豪放な旦那像が持ち味。

江戸系

三遊亭圓生

→ 江戸に移植し、人物造形を緻密に。

古今亭志ん朝

→ テンポ良く、江戸風の粋な仕上がり。

噺の魅力ポイント

  • 幇間という“芸で生きる男”の哀愁
  • 金持ちの無茶振りという社会風刺
  • 転落シーンの身体表現(演者の腕の見せ所)
  • 上方特有の陽気さと残酷さの同居

上方と江戸の違い

項目上方江戸
舞台京都色が濃い多少抽象化
幇間像愛嬌強めややクール
サゲ芸で切り返す皮肉味が増す